今回は「中学生の英語」についてお話をさせていただければと思います。実用英語の基礎は中学英語の完全習得にあり!ぜひ中学で習う英語を大事にしっかりと学んでください。
今年度より文部科学省は「話す力」をより重視する方針で、中学校の英語は、「社会的な範囲に話題を広げ、自分の考えや気持ちを伝え合えるようにする。新たに基本的な感嘆文や仮定法も教え、指導する英単語数も増やす。」となっています。
自分の考えや気持ちを伝え合えるようにする。すごくいいことだと思います。時間はかかると思いますし、なかなかうまくいかないことが多いと思いますが、中学生の皆さん、「長い目で根気強く」頑張ってくださいね。
ところで、「社会的な範囲に話題を広げ、自分の考えや気持ちを伝え合えるようにする。」という目標のために、感嘆文ってのはなるほどって感じだと思うのですが、ここでなんで仮定法が登場しているの?って不思議に思った方もいらっしゃると思います。今は高校の文法で習う仮定法。なんで中学でって思うかもしれません。でも実は、「自分の考えや気持ちを伝え合えるようにする」には仮定法は避けて通れないのです。
皆さん仮定法って何だと思いますか?「もし~だったら」が仮定法ではないんですっ。キリ。仮定法は話者の気持ちを相手に丁寧に伝えるために使う動詞なのです。自分の喜怒哀楽をガツンとぶつけるのではなく、喜んでいるんですよー、怒っているんですよー、悲しんでいるんですよー、ってことをやんわりと聞き手に伝えるための動詞なのです。
英語で仮定法は、subjunctiveまたはsubjunctive moodて言うんだけど、ぜひ辞書で意味を調べてみてください。あっ、英和辞典じゃないですよ、英英辞典ですよ。
実は、仮定法はすでに中学英語に出てきます。例えば "Would you like to come with us?" "Could you help me? "どうです。この表現、習ってますよね。実はこの表現のlike、helpという動詞が仮定法なのです。皆さんは、"Do you want to come with us?"より"Would you like to come with us?" のほうが、"Can you help me? より"Could you help me?" のほうが丁寧なんですよって習わなかったでしょうか?なぜ丁寧になるかというと、そこに使われている動詞が仮定法だからなのです。キリ。
あ~なるほど、だからだって思っていただけたと思います。なぜ中学校で仮定法を学ばせようとしているのか。それはまさしく「自分の考えや気持ちを伝え合えるようにする」ためなのです!と私は思っています。間違っていたらすみません。
英語圏の方の会話には仮定法があちこちに出てきます。仮定法抜きでは会話が成り立たないんじゃないかと思うぐらいです。だって、丁寧語なんですから、仮定法は。
大学入試二次試験①でお話しした、"How is it? "に対する"Could'nt be better." の発話には、発話者のその時置かれた状況に応じて、うれしくてたまらない感情、不安でいっぱいの感情、怒り心頭の感情などが、beという仮定法に込められているのです。その感情をやんわりーと相手に伝えている感じがなんとなくわかっていただけましたでしょうか?
仮定法を使いこなせるようになるのは、日本で英語を学ぶ私たちにとってはなかなか大変ですが、でも、でもでも、中学生から少しずつ仮定法を使っていけるように努力していくことは、「社会的な範囲に話題を広げ、自分の考えや気持ちを伝え合えるようにする。」という大きな目標達成のためには、とてもいいことだと思うのです。はい。ただし、「長い目で根気強く」ですよー。
中学英語は実用英語力の土台。中学英語に重要な要素がたくさん詰まっています。実用に耐えうる英語力を習得するためにも中学生で習う英語をぜひ大切にしてくださいね。
それでは!